鼻対医者

投稿日:2011/12/14
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野球の練習の一つにフリーバッティングというのがあります。
試合や実戦形式ですと守備9人VSバッター1人。
ですが、これはその形式では無く、バッティングセンターの様に複数のピッチャーが各々に対決するバッターに球を投げ、そして打つというスタイルが一般的な練習方法です(長文)。
ピッチャーの周りには、隣のバッターの打球をストップするための網が立てられてます。

高校生の時にフリーバッティングでピッチャーをしていました。
横のバッターが打った球が、網の綻びを奇跡的にすり抜けました。
「危ない!」と誰かが叫びましたが、時すでに遅く、投げ終わった私の鼻に直撃しました。
軟式と違って硬式の球は下手すりゃ命とりになります。
ユニフォームのまま整形外科に連れてかれました。
状況を説明すると、医者は「折れとる」と断言。
ハレが引かないと処置出来ないとの事で、冷やしながら待ちました。
再び、医者の前に座りました。
すると診察しながら「折れとらんなあ」と医者が呟き出します。
「なんでか解らんけど曲がっとるわ」とのたまいます。
「で、どうする?」
「何がですか?」
「いや、鼻をさ」
「痛いです」
「曲がりは?気になる?」
「よく解りません」
「男やから少々曲がっとっても、なあ、大丈夫やけどな、息が通れば」
「いや、治して下さいよ」
「…解った」

今度はベッドに横向きに寝かされ、看護婦六人に足やら腕やらを押さえ込まれました。
医者が両手の親指を、私の鼻にあてつつジャンプ気味に全体重をかけてきました。
ハレとダメージがまだ残っている鼻に対してのこの行為が、今まで生きてきて一番の痛みでした。
ようやく処置が終わり、再び医者と椅子に座って向かい合います。
「曲がり過ぎたな」
今度は逆に曲げる処置をされました。
涙が出てきました。


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