揉人哀歌(3)

投稿日:2011/02/04


大河ドラマもいよいよクライマックス突入です。
良い子は真似しない様に!
特別な訓練を受けた人間だけだからこそ可能な事ってあるもんなんです。

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(続き)
というわけで、鯉までの9時間頑張りました。ほとんど車に乗って、町の中心部(待ち合わせ場所)から岐阜の果て(古今伝授)、そして鯉への大移動でした。
BGMはさだまさし。傷ついたCDで、DJ風に何度も同じフレーズの繰り返し。さだまさしの皿が回される度に、空気が・・・・辛かった・・・。

最悪な報告があります。150年生きてる鯉は病気になって、入院中でした。鯉料理は、おいしかったです。三村(仮名)は、「食べた後は運動しないと太る」と言い出し、一人でストレッチを始めました。私は、三村(仮名)が以前、「携帯電話でメールばかりしている奴が嫌い」と言ってたことを思い出して、メールをしている風を装いました。実際は、2ちゃんねるのオカルト板を見ていました。
案の定「2人でいて、それは感心しませんね」と言いました。そして、「ここで回数券を切るから、20分揉んでくれないか」と言い出した。私は、「今日のことは人には言わないでください。ここで回数券切られても言い訳できないんでやめてくださいよ」と断りました。「ここは私が払うんですよ。揉んでくれてもいいじゃないですか」とか言ってきて、それもそうか、しかしセコくはないか?と葛藤しました。ここは空気を沈めようと思って、適当に2、3分肩を揉みました。ああ、これから1時間半かけて帰るんだな・・・と思うと、目がうつろになりました。帰りの車でも案の定ほとんど会話が無く、ひたすら前を向いて突き進む二人でした。もう二度とこのじいさんとは遊ばないと、心に決めました。
別れ際、「今日は楽しかったですね。今度は山へピクニックへ行きましょう。わたしがお弁当を作ります」と言い出したので、「これからもう一つの仕事が忙しくなるので、もう会えないと思います。お店でお待ちしております」と言って去りました。もちろん、もう一つの仕事なんかしていないがね。
あくる日、三村(仮名)は店に現れた。そして、「昨日、何があったかは知りませんけど、なんだかお疲れのようですね。何があったかは知りませんけど!」とニヒルな笑いを浮かべました。もうこいつを揉むのは嫌だと思った私は、「たまには私以外の人にやってもらったらどうですか?もっと指が合う人がいるかもしれませんよ」と言ってみました。すると、「僕は、あなたに会いにきているんであって、揉まれに来ているんではないですから」と言い出す始末。この言葉が佐々木蔵之介の発言であったら、迷わず結婚していたであろう。しかし相手は三村(仮名)なので、嫌われたい一方である。もうあかんと思って、それからは「へぇ〜」とか「はい」とか、会話が続かない感じに適当に接しました 。そして、なぜ車ではあんだけ無口で、ここではこんなに饒舌なんだと、むかついてきました。揉み終了。奴は起き上がり、「なんだか、今までで一番心がこもっていましたね。何でかは知りませんけど」と言いました。そうなんです。会話を適当にした結果、一生懸命揉んでしまったんです!か
くして、あくる日も指名された私でした 。
そして、「君に手紙を書いてきた」と言いました。「ああ、それはありがとうございます」と適当な返事をしたら、「でも、出さないほうが良かったかな」と言いました。「出すって?」と聞くと「いや、君の家に」と答える始末。何の悪びれもなく。ここで私は、瞬時にキレる決心をし、「なんでそんなことするんですか。ありえないですよ」と言い放ちました。しかし三村(仮名)はひるむことなく、「メールより、手紙はいいものですよ。ポストをのぞいて、手紙があったら、嬉しいですよ」と言いました。「そういう問題じゃないですよ。私、返事書きませんよ」と言いましたら、「かまいません」とのこと。「先日のお礼ですから」と。まじかーと思いつつ、殺伐とした空気で揉み終了。もはやリラクゼーションではない。笑顔無しで送り出し、さすがに三村(仮名)も反省風味の後ろ姿。その後、店長に怒られた。「○○さんは我が強すぎる」とのこと。この気が弱い私に向かって我が強いなんて・・・と絶句。しかし、先日の鯉の話は大野さんしか知らないんだから、店長からしたら私は何
の理由も無く上得意様に悪態をついたのであって、怒るのも無理ないか!と納得しました。
手紙を勝手に出されたことも、店長は「いいじゃないですか」と言っていました。他の奇天烈なメンバーは、「怖いね」と、賛同してくれました。
実際、数日後に手紙が届き、貼られていた切手は、奴がゴルフのスイングをして いる場面を収めたものでした。そして、自慢の習字で宛名が書いてあったけど、下手でした。
次の日、三村(仮名)が来ても目も合わせず、揉むときも喋らず、適当にしていました。私のそんな様子を感じ取った同僚が、熱湯のフットバスでアシストしてくれました。すると次の日、三村(仮名)は大野さんを指名しました。
「念ずれば花開く」。まさに三村(仮名)の言う通り!私は、三村(仮名)の呪縛から逃れたもうたのだよ!しかし、というか 、やはり店長に「接客」ということについて長時間の説教をうけることになった。でも、聞いちゃあいなかった。帰り際「もう、大野さんに決めたから」と言ってきたけど、「どうぞどうぞ」と言いました。回数券の売り上げが私の手柄でなくなるのは痛手だが、休日をつぶされることと天秤にかければ、屁でもない。と思って屁をこいた。

これで私と三村(仮名)の物語はおしまいです。後日談としては、大野さんも三村(仮名)に遊びに誘われ、一度はOKしたもののドタキャンしたため険悪ムードに。「○○さんのことも大野さんのことも好きになりすぎた。少し距離をおきたい。ところで先日あげた料理の本をやっぱり返してくれないか」という電話がかかってきて、次の日、本を取りに来て、お別れとなりました。

(完)
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