褒美之飴
投稿日:2011/04/17「飴とムチ」と聞くと背中が痛くなります。
エジプトでピラミッドを造っている現場でした。一辺が自分の背丈より長い立方体の岩を私を含めた8人がかりで丸太の上を滑らせていました。
丸太を後ろから前にセットする係が8人、合計16人のチームでした。
丸太係は素早さが、岩係は安定した持続力が求められていました。
最初は体力も充実していましたし、ちょっとコレおもろいやんみたいな興味もあって順調に運んでいたものです。
やがて徐々にピラミッドが高さを持ってきました。
岩を運ぶ角度が増して、距離も長くなりました。
肉体的な疲労も増してきました。
土埃やむせかえる体臭で面白さも無くなりました。
日本よりもかなり暑いですし、乾燥もきつかったのです。
丸太係の一人が手を滑らせて丸太を下まで転がしてしまいました。
取りに行っている間、岩係は待っています。
ようやく丸太を持ってきてセットし直し進み出しました。
汗が地面に落ちるとジュッと音がしました。
頭が痒かったのですが両手がふさがっている為に掻けませんでした。
爪も指先も真っ黒でした。
私の前の人が「アッ」と声をあげて転びました。
岩は旋回して壁にゆっくりとぶつかり、そしてめり込みました。
通路は大渋滞になりました。
監督が飛んできて「直せ」と命令をしましたが、岩を動かせません。
結局、岩を粉々に崩してしまう処置がとられ、粉砕チームの8人がニヤニヤ笑いながらやってきました。
その夜、簡易裁判が開かれました。
転んだ人と丸太を落とした人がムチ打ち16回、その他のメンバーがムチ打ち8回と判決が出されました。
粉砕チームには飴が配られました。
ムチは太く、背中にミミズ腫れが出来ました。痛みでシャワーが浴びれなくなりました。
16回ムチ打たれた二人は「もう辞める」とその日に荷物をまとめて去りました。
隣の部屋で粉砕チームの一人が「褒美が飴って割に合わなくねえか?」とブツブツ言っていました。
私も「飴はいらんなあ」とつぶやきました。
三重の求人はFirstBase