雨樋素麺

投稿日:2011/05/26


日本を離れて祖国に帰る異国人が増えているとニュースで見ました。
異国人には苦い思い出があります。
15年位前の事です。
私の住んでいた部屋の隣のアパートは、一軒丸ごとどっかの工場の社員寮になっていました。
異国人はブラジルから来た人らしいと近所の人が嫌そうに言うてました。
私が部屋の前の道でバットを持って素振りをしていたら視線を感じました。
隣のブラジルの男の人でした。
ニッコリ微笑んだら近寄って近くにしゃがみ込みました。
「やってみる?」とバットを手渡し、持ち方から教えましたが上手く出来ません。
やあやあ言うてレクチャーしていると、ブラジル派閥の連中が五人出てきて興味深そうに囲みました。
全員下手くそでした。
私は「そやっ」と言い残して部屋に戻りサッカーボールを手に戻りました。
ヒュ−ヒュ−と大歓声で出迎えられ、すぐにサッカー大会が始まりました。
ほとんどボールに触る事も出来ずに終わりましたが、サッカーボールをプレゼントし、それ以降は「ハーイ」とか言い合う仲になりました。
それからしばらくした、夏の暑い日曜日。
ブラジルからの六人がけだるそうに外にでて座ってました。せっかくの休みなのにする事が無い上に部屋が異様に暑いとの事。
私は日本では暑い夏を乗り切る方法がある、それは流しソ−メンだと伝え、皆で流しソ−メンをする事になりました。
私がソ−メンの茹で係で他六人が会場設定係です。
ソーメンを茹でているとキャッキャッと歓声が上がりバリバリと音がしました。
寮の雨ドイを破る音でした。
取りあえずソーメンを雨ドイに流して食べて皆で楽しく過ごしました。
次の日の夜遅くに帰宅すると、私の靴箱にサッカーボールが置いてありました。
器物破損で六人は会社から帰国させられる処分となってしまったそうです。
見送る事も出来なかったと言うより、そんな事になっている事も知らなかった私。
竹の説明さえキチンとしておけばと今も悔やんでいます。







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