黄色之嘴

投稿日:2012/01/16
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近所の池に鴨がやって来ています。
普段は白いアヒルが幅を利かせているのですが、季節物には敵わない様で、主役の座は鴨になっています。
集団から離れた三羽の鴨がいました。
三羽は歩いてる私に近寄って並んで泳いできました。
『ガコガコ』と小声で鳴いて、可愛らしい鴨達です。
イタズラ心で、急に回れ右をして歩く向きを変えてみました。
すると三羽も慌てて方向転換をしてついてきました。
しばらくそうやって遊んでいたのですが、鴨の方が先に飽きたみたいで無視される様になりました。
仕方なく、池の端の石垣に腰を下ろして鴨を見る事にしました。
三羽は同じ姿に見えてましたが、じっくり見るとそれぞれにクチバシの黄色や顔の緑色が違っています。
クチバシの色で、「ほぼ白」「薄黄」「真っ黄」と名前をつけました。
三羽は、同じタイミングで毛を繕ったり、逆立ちしたり、水面に立ち上がって羽をバタつかせたりしていました。
とても仲が良く見えました。
唐突に「ほぼ白」が「真っ黄」を追いかけだし「真っ黄」は逃げだしました。
何故か「真っ黄」の首をクチバシで挟もうとする「ほぼ白」。
挟まれまいと暴れまくる「真っ黄」。
争いの原因は全く解りません。餌の奪い合いでも始まったのかと考えた私は、とっさに石垣に落ちていたツバキの花を餌の代わりに投げ与えていました。
水面に浮かんだツバキに「薄黄」がツイーと近寄りました。そしてクチバシでツンツンした後、パクリとくわえ込みました。
「ほぼ白」と「真っ黄」の二羽は「薄黄」が餌を貰っていると判断したのか、争いを止めて近寄ってきました。
与えるべきツバキの花はもう落ちていません。
すると「薄黄」は『ゴアーッ』と大声で叫び、口からツバキを戻してみせたのです。
「ほぼ白」と「真っ黄」はゲロツバキをクチバシでツンツンしましたが、結局食べませんでした。
そして何事も無かったかの様に、三羽は又仲良くクチバシで毛を整えたりしだしました。

おそらくですが、鴨は元々ツバキの花なんかを食べない様な気がしました。
それを踏まえて、私は「薄黄」の身体を張って喧嘩を止めた行動に感動していました。
「薄黄」がリーダーのこのトリオは安泰でしょう。


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