演歌日和

投稿日:2012/03/23
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あれは15年程前だったでしょうか。
どういう思考回路でか、演歌歌手になろうと思い立った過去があります。
芸名は上村田金星(うえむらたきんぼし)としました。意味は全くありません。
金星は着流しルックで、タオルを手にぶら下げ、そのタオルをクルクルと腕に回しつけながら歌うスタイルでした。
そうこうしている間に、何故かよく解らない歌番組に出場する事になりました。
本番前にスタジオ脇で司会者のオッサンが各出演者らにリサーチをしていました。
「コイツは普段はこんな事しとる」とか「アイツは○○が趣味だ」のリサーチ結果を元にして、前奏の際に簡単な紹介を読み上げるんだとか。
金星は「自らで売り出し中のドサ回り芸人、どなたか私を買って下さい、只今絶賛大安売りでございます」にして下さい、と頼みました。
オッサンはそんな下品なのは駄目と却下してきます。
仕方なく「美味しいモノは美味しく食べるがモットー」でお互いに手を打ちました。
スタジオではそれぞれの出演者の応援団が観覧しています。垂れ幕や名前入りウチワを用意しているグループもいました。
金星の応援団は、ペンライトの替わりに魚肉ソーセージを振るのがルールでしたのでスタジオ内は少し匂います。
そんな中収録が始まり、金星は自作の歌を歌います。
タイトルは俺日和(おれびより)。

天をもズラす 荒波に
お前ら無事かと 夫婦岩
「アナタの隣が 好きなの」と
言ったあの娘は 何処行った
涙ながらに 伊勢うどん
鼻と一緒に すすってる
別れの後に 出会いはないさ
海が呼んでる 俺日和

名も泣き街の 裏道で
自慢のコブシを 振り出して
自販機どついて 指折れて
嬉しい事も あったのに
あの公園の すべり台
ケツがはまって 滑れない
大人になるのは いい事なのか?
本日ここいら 俺日和

「春になったら 花見だね」
嬉しい事を 言ったのに
金じゃ買えない モノが欲しいのさ
明日も世界は 俺日和

俺日和ったら 俺日和

熱唱&魚肉ソーセージ達の応援も及ばず、何の賞も貰えませんでした。
収録後、司会者のオッサンは金星以外の全員と握手して解散となりました。
そんなこんなで、金星は演歌歌手を引退し永遠の眠りについたのです。


カテゴリ:企画会議