亀甲年功

投稿日:2012/05/10
kaizuka.jpg

亀の甲より年の功と言います。
老人は色んな役に立つ事を教えてくれるのです。
小学生の時、探検遊びが流行りました。
未開の地に乗り込んで、束の間のサバイバル気分を味わう遊びです。
アケビを取って食べたり、涌き水のポイントをオアシスと名付けたり、秘密基地を作ってナワバリを主張したりしました。
ある日、図書館でサバイバル生活の本を読みました。
遊びではない本当のサバイバルでは、蛇やトカゲや鳥なんかを捕まえて食べる事を知りました。
私は探検仲間に「何かを捕まえて食べようや」と呼びかけました。
本には『蛇の皮は、首の下に傷を付けてシッポを引っ張るとスルッと剥ける』と書いてあります。
実際にやってみると、ブチブチと切れるだけです。
その上、手には、どれだけ洗っても消えない青臭さが残ります。
蛇は諦めました。
他の生き物を探しますが、小学生に捕まえられるヤツはそういません。
木本が「亀は?」と言いました。
さっそく川に浸かって亀を捕りました。
木本のお祖母さんがやって来て言います。
「アンタらそんな悪さばっかして。アカンやろが!」
私達は川の中で佇みます。
「昔な、あそこの子が亀をようけアンタらみたいに捕まえてん。」
「ほんで、ドラム缶に亀を放り込んだんや。」
「可哀相に、亀はポンポン破裂したんや。」
私は単純に「面白いやん、ソレ」と言いました。
「阿呆か。その子はなあ」お祖母さんは諭す様に続けます。
「手が亀みたいになってしもたんやで!」
私達は大爆笑しました。
「亀のタタリなんやわ」

お祖母さんの目の前で、全ての亀を逃がしました。
サバイバルで何かを食べるようとするのを、卒業したのです。



今日のよみものは、ひょっとすると以前に書いた内容かもしれません。
もしそうならば、端々の言葉の違いを堪能して下さい。


カテゴリ:出会い