河西浩一
投稿日:2012/05/20自転車を漕ぎながら、自転車を運んでいる人がいました。
前から走ってきた時、最初はすごくでかい荷物をかついでるんだと思ってました。
近づくにつれ、左肩に背負ってる物体にタイヤがついてるのに気がつきました。
乗ってるのも、背負ってるのも、どちらもピカピカのマウンテンバイクみたいな自転車です。
日焼けした顔、短く刈り込まれた茶色の髪、原色のランニングに原色の短パン、サングラスをした男性です。
サングラスは、川に油が浮いた様な、デーゲームで外野手がしてる様な、なんかそんなコチラが映り込むタイプのです。
「こんにちは」と声をかけましたが、無視して駆け抜けてしまいました。
「すいませーん」と大声を出すと、右手で『キキーッ』とブレーキをかけ止まります。
左肩から自転車を降ろす間に、側に近寄ります。
「何か?」
「あーえとー道を教えて下さい」
「どうぞ」
「あー駅はどっちですか」
「あちらへまっすぐです」
ここでお礼を言うと調査が出来ませんので、なんやかんやと引き延ばし探りを入れました。
河西さんについて判明した事は
・3コ年下
・京都出身
・サーフィンとサイクリングが趣味
・今日はデートだった
・デート中に彼女とケンカ
・ケンカの原因は秘密
・背負った自転車は彼女のモノ
・それは河西さんが誕生日にプレゼントしたモノ
・彼女はタクシーで帰ったみたい
・今、彼女の家に向かい中
・ケータイは出ない
等でした。
急ぎの河西さんをいつまでも足止めしても何なんで
「色々ありがとうございました」とお礼を言いました。
河西さんは不思議そうに見送ってくれました。