初自動車

投稿日:2013/11/17
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最初に買った車は、ボックスタイプの軽自動車でした。
それまで、中古の原付きしか乗ってなかったので、
嬉しさもひとしおでした。
しょっちゅう洗車して、ピカピカに磨き上げ大切にしていました。
しかし、初心者とは恐ろしい者なのです。
給油をしにガソリンスタンドに行くと
「オイル交換はどうですか?」と尋ねられます。
私は『ガソリン=オイル』と認識していましたので、
『オイル交換』とはレギュラーガソリンからハイオクや軽油に交換する事と判断し続け、
「そんなものは結構だ!」と答え続けていました。
半年もすると、サイドブレーキランプがたまに点灯しだしました。
車屋に電話で問い合わせると、
「オイル交換はしてますか?」と聞かれました。
「スタンド行く度にしてますよ」と答える私。
「うーん、ですと、ちょっと見せてもらわないと何とも言えませんね。近々見せて下さい」と言われました。
その頃の私は、朝6時には家を出て、23時にでも会社にいる上に、
土日祝日もほぼ休みの無い働き方をしていました。
月に2回くらいの休みには、洗車や洗濯や掃除や休養をせねばならず、
ズルズルと車を見せに行かねばならない事を忘れたフリをしていました。
やがてサイドブレーキランプは点滅から点灯に変わりましたが、
その頃にはサイドブレーキのロック具合にさえ注意していれば、
運転自体には何の支障も無い技をマスターしてましたので、不便さは感じていませんでした。
点灯と同時に、エンジン部分辺りが「カラカラカラ」と軽い音を立てだしましたが、
ボンネットの開け方が解らないので、どうする事も出来ず、
『車は乗ってる人の癖がつく』みたいな格言を思い出し、愛情不足なのかと、ひたすら洗車に励んでいるだけでした。
やがて『カラカラカラ』は声変わりの中学生よろしく『ガルガルガル』と変声期を迎えましたが、
窓を開けずに聴こえないフリで対応しました。
やがてサイドブレーキランプ以外の様々なランプが点滅・点灯をし始め、
エンジンがかからない自体にまで発展したので、
仕方なく車屋に電話をして来てもらいました。
車屋はピカピカのボンネットを開けて絶句し「エンジンが焦げ付いてる…」と呟きました。
エンジンオイルとガソリンの違いを延々と説明されましたが、
事の大きさを把握出来ていない私は「じゃあ修理して」と頼みましたが、
「エンジン載せ換えるしか無理」とつれない台詞を返されました。
とてつもなく高い授業料でした。


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