機械会話
投稿日:2013/11/22機械と人とのコミュニケーションの発端は、
私が思うに「たまごっち」ではないでしょうか。
「親」と「子」という間柄を築き、
機械という立場を越えて小さな画面のよく分からない生き物に、
並々ならぬ思いを寄せていたかつての時代は、
時を越えてよりリアルな対話を求めようとしています。
新聞にこんな記事が載っていました。
「運転者の気持ちを察して対話できる車の研究に乗り出した」
読み進めていくと、運転者の声の大きさやイントネーション、
会話の内容などから運転者の心情を判断し、
気持ちが不安定なようであれば、思い出の場所へ誘ったりするそうです。
また、他のメーカーのロボでは、
身振り手振りを交えながら走行中の危険を判断し、注意を促したり、
運転中の会話の相手を務めたりするそうです。
自分におきかえてみました。
私はだいたい1日のおおよそを車内で過ごすことが多いです。
仕事であるのはもちろんですが、
時にはラジオの発言に対して突っ込んでいたり、
懐メロがかかれば全力で歌ってみたり、
色々な状況を車内で過ごしています。
もしこのロボが搭載されていたとしたら、とりあえず喧嘩することになるでしょう。
車内で電話を掛けていたとして、掛け終わったらロボが言うのです。
「大きい声。 何かストレスがたまっているみたいだね」
「お客と電話しとんねん。声張らんと聞こえにくいやろが!」
「大きい声。 何かストレスがたまっているみたいだね。
そうだ、今からドライブ行こうよ。思い出の海、見に行こうよ」
「アホか。 仕事せなあかんねん。 思い出に浸っとる場合っちゃうわ!」
「大きい声。 やっぱりストレスがたまっているんだよね。
分かる。 そういう時は落ち着いた気持ちで温かい飲み物でも飲むといいよ。
この先に喫茶店あるけど、行ってみない?」
「アホか。 次行かなあかんとこあんねん。 お茶しとる場合っちゃうわ!」
「甘いものも効果的だよ」
「午後の素敵なひと時過ごしとる場合っちゃう言うてるやん。 もうええ、だまっといてくれ」
「残念だね。 また僕が必要な時には話しかけてね」
しばらくして、ラジオで誰かの発言に突っ込みをいれると、
「言葉にトゲがあるよね。 ほら、この先を左に曲がると思い出の場所だよ。」
「お前に話しとんちゃうやん。 ラジオに言うとんやん」
「大きい声。 ストレスためるのよくないよ」
たぶんですが、この堂々巡りをずっと続けなければならないように思います。
そしてストレスが本当にたまり、
ロボが話しかける度に私の心はどんどんかき乱されていくかもしれません。
そういえば私のたまごっちは、3日でお墓マークが出ていたように記憶しています。