泥棒動物
投稿日:2013/05/01他人同士の話というのは聞いてはいけない、という前提があります。
ラジオの番組では、店に来た客の会話に耳を傾けるというスタンスで、
様々な情報を伝えるというものがありますが、
本来、聞き耳など立ててはいけないものです。
聞き耳を立ててはいけないと言われると、
どうにも気になってしまうのが人というものです。
先日、遠方へ行く用事がありました。
世間は休みで、行楽ムード満点でした。
用事を済ませた私は、世間の行楽ムードに乗り、
普段は食べませんが、休憩ポイントでソフトクリームを食べました。
暖かい日差しの中、ソフトクリームは非常に美味しく、
とても気持ちの良いひと時に、とあるワードが聞こえてきました。
「泥棒猫」
あまり日常会話で発することのないワードだっただけに気になります。
話をしているのはどうやら近くにある、ポテトフライなどを売るおばさん2人でした。
このほのぼのした空間に似つかわしくない内容です。
「あの子、旦那さんいるのに泥棒猫しちゃったのよ」
「ホント!? 大人しそうな顔してるのにね」
「そういう顔に限って何やらかすか分からないんだから」
「でもそれからどうなったの?」
「何か、修羅場だったみたいよ。何せ泥棒猫だもの」
「一度痛い目に遭わないとダメよね、泥棒猫は」
「そうそう・・・ いらっしゃいませー! はい!からあげですね!お待ちください!」
眩しい光が降り注ぐ中、繰り広げられた泥棒猫話はからあげの発注者の出現により途絶えてしまいました。
私の手元のソフトクリームも、もう残り3cmとなりましたのでその場を去らざるを得ません。
思うことは、おばさんの口から発せられる「泥棒猫」というものは、
非常に昼ドラっぽさが出るものなのだと言う事です。
ましてや「修羅場」ですから。
私が思うよりずっと、世のおばさん達はドラマティックな日常を生き抜いているのでしょう。