無数目玉

投稿日:2013/07/29
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小さい頃、そら豆の花が嫌いでした。
嫌いと言うよりも、怖かったと言った方が正しいかも知れません。
下校時に、そら豆の花が咲き誇る畑の横を歩く際には、
毎回ビッシリと鳥肌を立てて早足で通っていたものです。
ご存知の様にそら豆の花は、白と黒の二色で配色されており、
幼い私の目には、それら一つ一つが「目玉」に見えていたのです。
風が吹くと、無数の目玉がワサワサと揺れ動き、
ランドセル姿の私を睨みつけている錯覚に陥っていました。
強風に薙ぎ倒された目玉に前後を挟まれて、
身動きが取れなくなってしまい、
震えながら次の強風を待っていた事もありました。
目玉の一つや二つでは恐怖を感じる事は少なかったでしょうが、
無数の目玉になると、毎年気持ち悪く感じていました。
図書館の図鑑で「トンボが見た世界」の写真を見た時に、
そら豆にも私がこんな風に見られてるんだと考えて、
益々恐ろしくなっていました。
その図書館ではこっくりさんをやってる上級生のグループも居ましたが、
私には「こっくりさん」や「上級生」よりも、「そら豆」の方が何倍も恐怖の対象だったのです。
実は、そら豆の花はすぐに枯れて無くなります。
非常に短期間だけの命ですが、
その命がある間が、私が元気を無くす期間となっていました。
いつの間にか治りましたが。

先日テレビを見ていたら、画面一杯に沢山の綺麗な向日葵が咲き乱れていました。
レポーターが向日葵の陰から出てきて、何かを喋っていたのですが、
私には「黄色い顔の人が無数にコッチを見ている」→「怖い」な感覚に陥りました。
突然の衝撃に対処の仕様がありませんが、
取りあえずいの一番にフラワーロックを捨てました。
完治の日は来るんでしょうか。


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