赤信号記

投稿日:2013/08/29
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車を運転していると、左車線にトランクを全開にして走る
ワゴン車を見ました。
例えばセダンタイプの車ですと、
トランクに大きめのものを詰め込み、
半開きにして走行しているというのは見た事ありますが、
ワゴン車で全開というのは初めてです。
ちょうど赤信号で止まっているそのワゴン車に近づくことが
できましたので見てみると、
座席は運転席と助手席しかなく、
あとは全部荷物スペースとなっており、
中には6角形の空の容器がいくつか転がっていました。
たぶんですが、閉め忘れているのだと思われます。
そうでなければ容器をこんな適当に放置しておくわけにはいきません。
全部外へ転がっていってしまいますから。
しかし、思うのですが、こういった場合どうしたらいいでしょうか。
そもそもトランクが開いている事を本人は知らないのでしょうか。
わざと開けているのか、壊れて閉まらなくなったのか、
色々な事情があるのかもしれないと思うと、
どのように伝えればいいのか分かりません。
するとワゴン車の運転手は窓を閉め始めました。
冷房をかけているのだと思われますが、
何せ後ろが全開なので絶対効かないと思います。
これで気付けばいいのですが、全く後ろを見る気配がありません。
たまたま、赤信号の関係で私はワゴン車の横に位置することが出来ました。
信号を気にしつつ、ワゴン車に熱い視線を送ります。
運転手は私の視線に気づき、こちらを見ました。
私は親指を突き立て、後ろを示すようなジェスチャーを取りました。
すると運転手は「何だコイツ?」といった怪訝そうな顔をしてそっぽを向きました。
もうすぐ信号は青になります。
私は最後の望みを込めてワゴン車に熱視線を浴びせました。
こちらをチラと見た瞬間、口で「う・し・ろ」と言いました。
するとあろうことか私の車の後方をチラと見て、青信号になり左へ発進していきました。
カーブを曲がった時、空の容器が大きく転がり始めました。
この先の道のりで私と同じ思いをする人は、後どのくらいいるでしょうか。
荷物がすべて車から消えた時、私の事を思い出してもらえればと思います。


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