大人購入
投稿日:2013/08/05「大人買い」、何と魅力に溢れた行為なんでしょう。
その行為を初めて目撃したのは、小学生の時でした。
プロ野球カードが付いたポテトチップが近所の駄菓子屋で販売されてました。
何故か掛布と川藤のカードが欲しくて、チマチマと毎日一袋ずつ買ってました。
やっぱり巨人の選手が人気らしく、原や篠塚や中畑やスミスをゴミ箱に棄てる日々が続いたものです。
日ハムはオレンジと白のユニホームと教えてくれたのも、そのカード達でした。
ある日、いつものように駄菓子屋へ行くと、
仕入れたばかりの段ボール二箱と、店頭のバラ全部を買い占めた大人が会計をしていました。
その駄菓子屋の仕入れのサイクルは二週間でした。
ショックで打ちひしがれる私を尻目に、
買い占め男は、駄菓子屋のオバチャンとともに、車のトランクに箱を積み込みました。
何故かオバチャンの指示によって、私もバラを運ばされました。
運び終わると男は車に乗り込み、窓を開けてチップス三袋を私に手渡しました。
驚く私にニヤリと笑いかけ、
「坊や、ありがとよ」と告げて立ち去りました。
ちなみにオマケのカードは付いてませんでした。
それ以来、「いつの日かそういう行為をする」と心に決めて暮らしてきたのです。
そういう行為を「大人買い」と言う事を知ったのは、
随分と大人になってからでした。
先日、古本屋で東海林さだおコーナーをチェックすると、
いつもは在庫無しなのに、十五冊も入荷されているのを発見しました。
すかさずサイフの中のメモを取り出して、
まるかじりの所持非所持を確かめ、非所持だった七冊を購入しました。
「スイカのまるかじり」百五円
「猫めしのまるかじり」百五円
「どぜうのまるかじり」百五円
「ホットドックのまるかじり」百五円
「パイナップルのまるかじり」百五円
「おにぎりのまるかじり」百五円
「コロッケのまるかじり」百五円
の七種が新たにメモにラインナップされました。
計七百三十五円也。
一見大人買いですが、どうもチマチマ感が抜けて無い気がしています。