隣人歌声

投稿日:2013/09/29
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隣の部屋の男性が、週末になると歌を歌っています。
EXILEだったり、懐メロだったり、きゃりーぱみゅぱみゅだったり、英語の歌だったりします。
毎回音楽に合わせて歌うのですが、窓全開の時期には、結構な爆音が早朝から響いています。
高校生らしく夏休みは暇に任せて、連日リサイタルが開かれました。
残念ながらあまり上手くなく、どちらかと言えば下手くそに分類される上に、
開催が早朝や深夜になる事もありましたので、正直困っていました。
その後、誰かがクレームを入れたのか、朝は8時から、夜は22時までと多少なりとも改善されました。
彼はどうやらバンドを組んでいるらしく、
メンバーが集まってワイワイしている事もありました。
最近のバンドは、「ファッション・モンスター」までカバーするから大変です。
しかし、ここ最近はパッタリ聴こえ無くなり静かな日々を過ごせるようになりました。
先日の台風の夜、外から「トコトコ」と言う音がしました。
風でトタン屋根がパタパタする音かと思いましたが、
翌朝も「トコトコ」は続きました。
換気扇に小鳥が巣を作ったのかと、
外して観察までしましたが違います。
よくよく聴いてみると、「トコトコ」の合間に「イェー」や「ダーダバダー」等の声もします。
それらはどうやら隣の部屋から響いてきています。
音は台風の夜以降、連日連夜続きました。
想像するに、一向に上達しない歌唱力が故に、
遂にヴォーカルを外され、ドラムかパーカッションに転身させられたのではないでしょうか。
「トコトコ」は並べた座布団をスティックで叩く打撃音に違いありません。
そうやって練習していた貧乏臭い友人がかつていた事を思い出しました。
なんにせよ新しいドラマーの誕生です。
まさに嵐を呼ぶ男でしょう。
いかんせん、彼の持って産まれたリズム感の無さは致命的で、
「トコトコ」は貧乏ゆすり並のビートしか感じられませんが、
コーラス部分はみるみる上達し、「イェー」が「ゥオイェーァォ」にまで成長しました。
とうとう巻き舌を覚えたみたいです。
『人は挫折を知り、己を知り、それを乗り越えた時に成長する』みたいな言葉を、隣の彼に教えられた気分です。
そんな彼も、ドラマーとしての限界を感じ、
最近バンドを脱退したみたいです。
やがて自分がリーダーのバンドを組んでヴォーカルに返り咲いたのではないかと推測しています。
理由は、奇しくも今朝、リサイタルが再開され、その歌声でたたき起こされたからです。
リサイタルは、昼ご飯を食べている今も続いています。
復活リサイタルは、鬱憤を晴らすかの様に長時間に及んでいます。
久しぶりに拝聴した彼の歌声は、一際酷くなっていました。
巻き舌の影響でしょうか。


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