分別家族
投稿日:2014/10/13公園の駐車場に車を停めて、お昼ご飯を食べてました。
その公園は、車から降りて少し歩けばリアス式の海が眼下に見えます。
私が停めた所は、端っこで海は見えませんが、車の通りも少なく、他には屋根のある休憩所みたいな所で、カップルが仲良く弁当を食べてるだけの静かな環境です。
更に言えば、暑くも無く寒くも無く、誠に快適に食事を楽しんでいました。
そんな中、私から四台分空いたスペースに一台の車が入ってきました。
黒い大きな車でした。
扉が開いて、わらわらと九人の男女が出てきます。
大人が四人と子供が五人で、辺りは瞬く間に騒がしくなりました。
子供はワーキャーと走り回り、大人は宥めすかしつつの記念撮影です。
おそらくですが、仲良し二家族での旅行って感じでした。
運転席の男は二列目と三列目に頭を突っ込んで、足元のゴミを袋にまとめていました。
一人の子供が「喉が渇いた」と叫び、「私も」「僕も」と呼応します。
休憩所近くにいた母親が、ゴミ片付けの父親にジュース渡す様に指示しました。
父親は「どこや、どこにあるって言うんや」と、ぶつくさ言いながらも見付けて手渡しました。
それにしても、車内のゴミ片付けは長引いています。
やがて子供らは、飲み終えたペットボトルを蹴って遊びだし、
駐車場にはポコンポコンと力の抜ける音が響きました。
父親が「コラーッゴミはこの袋へ入れろ」と、ほぼ満タンになった大きな袋を差し出し、
めいめいがペットボトルを放り込みました。
袋の口を結んだ父親は、やっと景色を見に行きましたが、
他の全員は飽きた為か、すぐに帰る流れとなりました。
「次は○○と○○君が前で、○○は後ろの約束やろ」等と、オリジナルなローカルルールを駆使して全員を乗り込ませて、やがてブォンと旅立ちました。
カップルは、いつの間にかいなくなってました。
私も食べ終えたので、去ろうとした時に、
何やら目に止まりました。
さっきのゴミ袋です。
黒い車が停めてあった影の植木の中に、ドサッと無造作に置かれてました。
見に行くと上の方に、ベコベコのペットボトルが五本入っていました。
間違いありません。
それまでは「お父さん、頑張って」と思ってましたが、
「あの奈良ナンバーの馬鹿家族、海に落ちればいいのに」に変わりました。
仕方なくゴミを乗せ、近場のコンビニに行きました。
理由を言い、お願いして捨てましたが、
それ以来、分別をする度に、あの二家族に不幸が訪れる事を願っている自分が怖いです。