基礎工事
投稿日:2014/07/30家を作るのは、人も動物も昆虫の類も大変です。
人であればたくさんのお金が必要となります。
ドラゴンボールのホイポイカプセルみたいに、
ポイと放ってできるわけではなく、
土地探しやら建築先探しやら色々大変です。
動物で言えば、燕は外敵から守れそうな所を見つくろい、
何往復もして巣を作ります。
カラスだってそうです。
我が家の物干しにかかっていたハンガーを狙われたこともあります。
たくさんの働き蜂が巣を作り、たくさんの働き蟻が巣を作り、
みな、自分の家の為に一所懸命に頑張っています。
しかし立地場所を見誤ると、切ない結果に陥ることがあります。
人で言えば、もし購入した土地の場所は良くても、
近隣住民にやっかいな人がいれば、
「この家に住むことは果たして正解なのか・・」とも考えてしまいます。
どこに家を作るのか、というのは何も人だけの話ではありません。
つい先日から、私の車にどうやらクモが住み着いたようです。
毎朝、車に乗る際にそのクモが作ろうとしていた巣の、
最初の1本を断ち切って乗り込む事が日課になりました。
クモは初めのころは運転席付近に巣を作りたがって、
ハンドルからシートベルト、ウインカーからドアの持ち手部分、
さまざまな場所に1本つなげていましたが、
いつも1本の段階で私にあっけなく見つかり、
あっけなく破壊をされていたのです。
クモは考えたらしく、場所を移動しました。
今度は後部座席に巣を作ろうと画策していました。
しかしながら、私は後部座席にもいくつか荷物を出し入れしているので、
ここでもあっけなく破壊をされてしまいます。
今までで1本以上の巣を見たことはなく、
人で言えば、基礎を作ろうと着手した段階で破壊されるので、
クモ自身も「ここは家を作る場所ではない」と気付けばいいものの、
どうにかこの獲物の少なそうな車内で夢のマイホームをたくらんでいるのです。
私としても毎朝、このクモの巣との戦いに良い思いはしていませんでした。
とある日、車内で昼食を取っていると、ダッシュボードの付近に
キラッと光る一筋の糸を発見しました。
そしてその糸の先には、我が車を夢のマイホームにしたがる当本人がぶらさがっています。
「これは確実に駆除せねばならない」
私は日々のコイツとの格闘に思いを馳せつつ、クモに打ちおろしの一発を加えました。
クモは切れた糸と共に下にあった荷物の入った段ボールへ消えていってしまいました。
昼食を中断し、段ボール内の荷物を全部のけ、
「今度こそは!」との思いで底を見るとクモはあっけなく動かなくなっていました。
私は心の中で言いました。
「クモ、今度クモになった時には、巣を作る場所を必ず考えるんだぞ」
夢のマイホームは夢のまま、何て切ない世の中でしょう。