戦闘機械

投稿日:2013/11/10

先日、ニュースでロボットのことをみました。
人型の踊りを踊ったり、障害物をよけたりするものや、
危険な場所での作業が出来る、
犬っぽいのや馬っぽいロボットをいくつか紹介し、
技術が進めばこの先ターミネーターのような殺人ロボットも
創り出すことが出来る、との懸念を発表していました。
私が子供の頃はボールを打ち返すだけのゲームに
「すげえ!」と狂喜の声を上げていたのですが、
今のゲームはその当時の私では想像できないくらいになっています。
もちろん、そのようなロボットだって望まずとも作れるのかもしれません。
昔、私の同級生が確かプレデターの映画を観に行きました。
帰ってくるや私の元へやってきて、
「お前とプレデターやったら、絶対プレデターのが勝つ」と言うのです。
私はプレデターが何かさっぱり分かりませんので、
「そんなん、分からん。 俺が勝つかもしれん」
とりあえず負けたくはないので反論します。
それから彼はプレデターがいかに強いかを説明します。
彼の言葉の中だけで私はプレデター像を作り上げていきます。
「あっという間に殺られる」
「隠れてもあかん、体温でばれる」
「息しとてもばれる」
「ばれたら一貫の終わりや」
私はその得体のしれんプレデターにすぐに負ける旨を言われるのに
とりあえず歯向かう姿勢を見せます。
「あっという間とは限らんで、近くに来たらとりあえず首をグッて持って、
グッて押し倒したるわれ」
「体温でばれるんやったら、ずっとアイスクリーム舐めとくわ!
そしたら身体冷えて分からへんやん」
「息は止めとたらええんやろ?息したくなったら長い棒でスーハーする。
そしたらそいつはそっち行くやん。そん時に飛び蹴りくらわすわれ!」
両者平行線のまま、とりあえずその日は分かれました。
互いにヒートアップを見せた討論会は、私たちが中学生の頃でした。
バカな会話をしているな、と今になれば思うのですが、
馬っぽいタイプのロボットが走っている姿を映像で見て、
「コイツやったらまず上に乗って崖の近くまで誘導さして、
寸での所でコイツだけ落とす作戦やな」
とニュースを見ながら無意識に考えている自分がいました。
私の中の少年の心は無駄に健在であることを思い知らされました。
カテゴリ:出会い

模様変更

投稿日:2013/11/03

毎回オイル交換は、近所のガソリンスタンドでしてもらいます。
小さい店ですので、必要以上に店員と喋らずに済み、何か買うように奨められる事も無く、ほっとかれるのが逆に気に入っています。
作業を待ってる間は、待合室の本棚を活用し、時間をつぶしています。
本棚の内訳は、るるぶ・まっぷるの旅行雑誌が数冊、さいとう・たかおの劇画が上四段、昭和風のエロ漫画が下二段となっています。
非常に片寄った構成ですが、一番充実している、さいとう・たかおの『鬼平犯科帳』『仕掛人 藤枝梅安』『影狩り 蜉蝣十八万二千石』『新・影狩り』『風よ雲よ剣よ』などの剣客モノを選んでいるので、不便さは全く感じさせません。
最近のお気に入りは、読み切りかつ続き物型式の『拝札人 斬』で、ここ毎回「今日はここから、楽しみ」「今日はここまで、残念」と読んでいました。
先日、店に行くと本棚が撤去されており、
替わりに、ガラステーブルの下のスペースに、
インレッド・ステディという女性ファッション誌と、
人妻豊色本・ほろ酔いお姉さんというエロ系グラビア雑誌が数冊だけ並べられていました。
キョロキョロと本棚を捜すと、旅行雑誌のみが片隅に立てて置かれてました。
オバサンの店員さんに「あの〜本棚はどこですか?」と話しかけました。
必要最低限以外の会話は、来店以来初めてでした。
オバサンは「ああ、アレね、邪魔だからどけちゃったの」と口にして、
「いまどき読む人もいないし、前の社長の趣味だったから、置いてたんだけどね」と続けました。
仕方なくテーブル下の雑誌をパラパラと眺めましたが、
『今年の冬コーデはコレッ』にも『尻で見分ける淫乱女50人』にも、全く興味が湧きません。
名残惜しさに、本棚が存在したスペースを眺めました。
今やそこには、赤い毛氈がかけられた棚が置かれ、ひな人形風の二段の階段に、
陶器の狸やら鬼やら龍やらの焼き物が並べられています。
狸は二匹おり、上の段の狸は阪神のミニメガホンを持たされています。
お店の努力と客のニーズは、毎回必ずしも合致する訳ではありません。
お土産にティッシュペーパー5箱を渡されましたが、
私の表情は悲しげなママでした。
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自己語部

投稿日:2013/10/30
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Yahooの子供版で「なりきりグルメレポーター 手作りおやつ編」というのがあ
りました。
自分やおうちの人が作った自慢のおやつを、
グルメレポーター風に伝えて下さいと言うものでした。
とりあえず見てみました。
「ホットケーキをお母さんとよく作るよ!けっこうおいしいんだ!」
「よく一人でフルーツ白玉。家で作ります」
「まず、私が紹介するのはフレンチトーストです。
とろとろのところがおいしい、と思います。」
「去年本命でトリュフ作ったよ。 次の日告白されたよ」
「レンジで温めたりんご」
中にはレポートしているものもありましたが、
だいたいは普通の感想を述べるというものばかりでした。
私としては一人でフルーツ白玉をよく作る人が気になりますが、
何にせよ、東海林さだおからすれば「もっと説明せよ!」と言う声が上がるような内容です。
他にも「あなたの好きな曲は?」というのもありました。
とりあえず見てみました。
「カゲロウデイズと千本桜とマトリョシカとかもうボカロの曲全般です。
特に初音ミクと黒うさpの曲大好きです。」
「やっぱり、私は西野カナかな〜。恋の歌いいよね。歌詞であるように、
告白したいけど、振られて傷つきたくない。でも誰かにとられたくない。
この気持ちすんごく共感できるなー」
「校歌」
「僕が今までに聞いた数ランキング年代順
2008キセキ_______GREEN
2009涙空________GREEN
2010halation______秦基博
2011明日へのマーチ___桑田佳祐
2012田園________玉置浩二
2013夏を待っていました_amazarashi」
ほとんど何の曲かは分かりませんが、
西野カナが好きだと書いたのは10才の人でした。
私が10才の頃など、恋なんてものは全く関係しない生活でした。
おやつについてはボキャブラリーが少ないのに、
好きな曲になると急に饒舌になる子供たちは私が思うよりもずっと、
色んなものを見聞きしているのでしょう。
私としては2012年に玉置浩二の田園をかなり聞いた人と、
ちょっと話してみたいものです。


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白蟻業者

投稿日:2013/10/21
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シロアリ駆除の業者が、事前に状況を把握したいとやってきました。
名刺を渡され、すでに畳が一枚ない悲惨な寝室へ案内しました。
事件現場を見て業者は『やっぱりココですね』と呟きました。
理由を聞くと、以前に隣の洋間でシロアリ駆除工事をしたらしく、
私の住んでるアパートは、和室・洋間、和室・洋間、和室・洋間、と並んでるみたいで、
駆除済みの隣の洋間から、地下を通ってマイ和室へ流入した可能性が大なんだと、
今後のご近所付き合いを考えさせられる衝撃の事実を告げられました。
このアパートは縁の下が無い構造の為、風の通りが無くシロアリ的には快適な環境なんだそうです。
基本は鉄筋コンクリートですが、木があればものともしないらしく、
穴を空けては砂を運び、穴を空けては砂を運びして、どんどん巣を拡大させてくんだとか。
それならばと洋間へも案内すると、
業者は床を「ドンドンッ」と手で叩きだします。
窓際の一角だけは「コンコンッ」と軽い音がし、
床下の木材をコンコン叩きながら、「このラインも全て食われてますね」と恐ろしい事を言いました。
隣からのシロアリは和室を食い尽くし、押し入れや壁の地下を突破した後、洋間へ突入済み。
わが家の窓際はすでに壊滅状態と言われました。
工事は床やらベランダのコンクリートやらに小さな穴を開け、
その穴にシロアリが嫌う薬品を埋め込みフタをする流れで、
「こちらの部屋の規模なら半日もあれば」との事。
「薬品は人体に影響はほぼなく、工事後は即、普通の生活ができるから安心ですよ」と唆され、
早速工事を申し込みました。
しかし借家住まいの悲しいサガで、大家さんの許可待ちとなり、
しばらくの間は、気持ち悪さの為に窓際には近寄らない生活を強いられる事になります。
チェックが終わった後も、業者は帰らずに話を続けます。
「実はこの上の部屋のベランダの柵に、コウモリが住み着いてまして、ただ今そちらの駆除も許可待ちなんですよ、フンは大丈夫です?」
そう言えば布団を干そうとすると、毎回ベランダに黒い小さな塊が並んでました。
ホウキで掃いて雑巾で拭いてを繰り返していましたが、
一晩で結構な量があり、ずっと何か解らなかったのですが、
あれらは全てコウモリのフンだったと解明しました。
夜な夜なコウモリのフンに包まれて夢を見ていた訳です。
あまりにもショックがでかい私に、かける言葉が見付からない業者は帰る準備をし、
つられて私も玄関まで送りました。
玄関で「ではシロアリさんの方は私どもから大家さんの方に報告をして、許可を取らせて頂きます。日程の方は後日連絡させて頂きます」と業者は言い、
私が「なんで今『シロアリさん』って『さん』付けたん?」と聞くと、
「我々は歩いているアリさんでさえも殺さない教育を受けています。駆除をするからと言ってむやみやたら殺生するのは、間違いですから」と言い残し去ってきました。
逆のお隣りさんから恨まれる日は、そう遠くありません。


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水野水野

投稿日:2013/10/20
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昔、2時間ドラマのエキストラの仕事がきました。
ドラマ撮影の現場を体験するのも良いかと、
「あいよ」と即答で承諾し、
他のエキストラ達に交ざって、事前の説明を聞いてました。
水野美紀だか真紀だか誰だかが、
家業が老舗の何かを営む家に、嫁いでアレコレある、そんなあらすじでした。
当時の私はテレビを買う資金も無く、
幼い頃から、ドラマを見る習慣も無かったので、
説明は何一つ理解できてませんでした。
やがて髭でサングラスの男が遅れて一つ空いていた前の椅子にドッかと着席し、
エキストラ一人ずつを目の前に立たせ、歩かせたり、回転させたり、喋らせたりし、
「君は通行人D」や「友人A」や「店員C」と、
配役を振り当てだしました。
どうやらエキストラにもランクがあるらしく、
他の方々は、画面に少しでも長く映れる役を目指し、
少しの動きでも、多大なアピールを試みていました。
中には一人で「通行人E」と「野次馬A」と「店員B」のように、
一人三役を兼ねる大抜擢の人も誕生するので、
緊張感は高まります。
やがて私が呼ばれましたが、
何故かアピールする機会を与えられる間はなく、
『アナタはコチラです』と、チンピラB役を振り当てられました。
全員の役割が決まり、当日の集合時間や服装は自前であるとかギャラの支払い方法なんかを説明され、解散となりました。
帰り道に前を歩く「お手伝いA」と「宅配A」が
『役作り頑張らなくっちゃ』と言ってました。
当日、少しでもチンピラに見せようとワードローブを開きましたが、
いかんせん服が無いので、普段着で現場へ向かいました。
台本によると「チンピラB」の出番は、
商店街で水野にイチャモンを付け、
それを旦那役が撃退する出会いのシーンでした。
台詞もアップもあり、初ドラマとしては上出来らしいのです。
他のシーンの撮影が押してるとかで、
待機場所のテントで座ってましたが、あまりに退屈でコッソリ見に行きました。
人だかりを掻き分け、最前列に進むと、
髭サングラスが『ヨーイ、スター』とか『カット』とか『髪直して』と、アレコレ指示を出してました。
人だかりが厚みを増して、もはや戻れ無くなったので、
傍らのチェアーに腰を下ろして撮影を見守ります。
やがて『OK』となり、
私の横に一人の女性が近付き立ち尽くしていました。
『何?』と聞くと、泣きそうな顔でどこかへ行き、
男性を連れてきました。
再度『何や?』と聞くと、
男性が『そちらはウチの水野の席でして…』と言い出します。
イラッとして『名前でも書いてあんのか!』と叫んで、チェアーの背を見ると「水野○○様」と貼ってありました。
そして『ウチの水野が怯えるから』とのゴリ押しで、
急遽配役が差し替わり「チンピラB」は「通行人」に格下げになり、
撮影地点から、遠く離れて歩いただけで終了しました。
いまだにあれは、水野美紀だか水野真紀だか坂井真紀だか酒井美紀だか誰なんだか解りません。


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畳職人爺

投稿日:2013/10/18
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アパートの和室にベッドを設置する際に、
畳とベッドの違和感に笑えて、眠れない夜を数えた過去があります。
その時に苦肉の策として、畳の上に絨毯を敷いて、和を覆い隠す作戦で乗り越えました。
それから、覆い隠した事も忘れて、
のほほんと過ごして今に至ります。
先日、寝室の端を歩いた時に、
足の裏に違和感を感じました。
寝室の端には、災害時の持ち出し用の鞄が二つと、2リットルの水が6本置いてあるのですが、
それらの周辺から妙なフガフガ感がしたのです。
「何事ぞ」と思って、何年かぶりに絨毯をめくると、
畳が黒と白と茶色になっていました。
臭いから判明したのですが、カビが発生していたのです。
奇しくも三色のカビは、各荷物の下ごとに配置していましたので、
逆に、災害が無かったが故の災いと言う事になります。
畳の表面は腐ってただれており、絨毯の裏にもカビが侵食し、
もはや例え雑巾でゴシゴシ拭いたとしても、どうにもならない状態でした。
仕方なく、知り合いから畳屋を紹介して貰い、
「オモテガエ」「ゼンガエ」等の業界用語を乗り越えつつ、
一畳を交換に来てもらう発注になりました。
畳屋が来る前に、絨毯を剥がして捨て、
よくよくカビた畳を観察すると、
その畳はただの長方形では無く、
長方形の一角が柱に合わせて四角くカットされている
特殊な形状である事に気付きました。
和室は六畳となっていましたが、
厳密には約5.75畳だったのです。
そう言えば、絨毯の上に掃除機をかける時は毎回、
出っ張りを邪魔に感じてましたが、
畳の特殊な形状にまで思いが及びませんでした。
しばらくすると、畳屋のお爺さんがやって来ました。
お爺さんは交換する畳の形状を見て、「ヘリカットせなアカンな」と言いました。
畳を持ち帰って、それに合わせて加工をするのだが、隙間を埋めねばならないとも言いました。
何にせよ、「はよ持ち帰って、はよヘリカット加工して、はよ持って来いよ」と思っていると、
隙間の長さをメモするのに、ペンを貸してと言い出します。
ボールペンを渡そうとすると「マジックがええな」と言うので、
お望み通りのマジックを探して渡すと、
お爺さんはマジックを畳に走らせメモしました。
そして畳を持ち上げた時に、動く何匹かの虫を発見してしまいました。
「これはシロアリやな」と言い、「ウチはシロアリ駆除もやっとる」と営業をしてきましたが、
賃貸ですので、そこまで借り手がするのはどうかと思い、
「管理会社に言うわ」と伝えると、
「シロアリはほっとけばおらんくなる」
「え?」
「環境が変わればどっかへ行く」
「どこへ?」
「知らん、隣とか」
と言い残し、畳を担いで帰って行きました。
畳の一部無い部屋で、
シロアリに食い散らかされた部屋で、
ベッドと違和感のある部屋で今夜は眠ります。
明日の夕方には、管理会社からのシロアリ部隊がやって来るそうです。


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時空伝説

投稿日:2013/10/13

スーパーの駐輪場でおばさん2人が立ち話をしていました。
いつもならばそんな光景を見た所で、
何も気にしたりしませんが、おばさん達の話の中で
「都市伝説」という言葉が聞こえたので私の中の何かが大きく心動かされました。
誰かを待つフリをしながら、おばさん達の会話にこっそり聞き耳を立てていました。
「何かね、都市伝説らしいんだけど、一瞬で変なところに行けるらしいのよ」
「どういう事?」
「私もね、よく分からないんだけど息子が言うにはね、
気が付くと誰もいなくて、困っているとおっさんが助けてくれるらしいのよ」
「おっさんが? おばさんはいないの? 私だったら困っている人助けるわよ」
「おばさんとは言っていなかったわ。おっさんなんだそうよ」
「おっさんだけ、ずるいわよね。 私たちだって助けるわよね」
「そうよね、おばさんだって何かあれば助けるわよね」
「それでどうしてそんな所へ行ってしまうわけ?」
「息子が言うには、急に行っちゃうそうなのよ」
「困ったわね。 私たちでも行っちゃうってことよね?」
「そうよね、急に行くことになったら大変よね」
「そうよそうよ、ご飯作ってる最中だったら大変よ、火事になるわ」
「本当よね! しかも風呂上がりだったらもっと大変よ!」
「風呂上がりは嫌よね、すっぴんだしね」
「できたら、そうね・・パーティーの後とかがいいわよね」
「結婚式とか? でもずいぶん結婚式とかなさそうよ」
「それより、おばさんは助けてもらえるのかしら?」
「そうよね、相手はおっさんだから分からないわよね」
「私も相手が福山雅治だったら喜んで助けるけどね、うちの旦那みたいだったらね」
「あははは! そりゃ放っておくわね!」
「でしょ? だから私たちも助けてもらえるか分からないものね」
「やっぱり普段からおめかししないといけないってことよね」
「私、都市伝説があるかもしれないから新しい服買ってもらうようにするわ」
「いいわね! 私もエステにいけるようにするわ」
「都市伝説も役に立つわよね」
「そうね、いいもんね都市伝説って」
たぶん、あなたたちは絶対どこへも行きません。
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他人距離

投稿日:2013/10/10

占いは基本信じません。
朝の番組をめざましテレビからNHKに変えてからは、
ほとんど占いというものに触れることがありません。
たまに新聞代の領収書と共に投函される、
小さい冊子に書いてある占いで、
4月のあなたのラッキーグッズは「とっくり」です。
と言われるのを横目で確認するくらいです。
占いにもさまざまあって、
ラッキーグッズやラッキーフードを紹介するものや、
恋愛運や仕事運などを星で判定していたり、
色々ありますが、たまたまチラリと見た雑誌の占いには、
それぞれの星座別に占い師からの一言が書かれていました。
乙女座:「『親しき仲にも礼儀あり』に注意しよう!」
双子座:「相手の領域に立ち入りすぎないようにしよう!」
とかそういったものです。
だいたいにおいて言われている一言は、
「出しゃばるな」
「控え目に生きよ」
「周りに気遣え」
という事を言葉を変えて各星座毎に言っているだけで、
要約すると人との関係はつかず離れずでいるが良し、と言う事です。
そんなことは占いの人に言われなくても生きていれば分かります。
先日、野球の観戦中にいきなり背中に衝撃が走りました。
まるで誰かに背中をどつかれたような感じでした。
あまりの衝撃に驚き、自分でも驚くほどの大きな声で「痛え!」と言い、
振り返った時に思わず驚いた顔ではなく、何事だ!と言った方面の、
ゴルゴ13のような顔をしてしまったら、そこには完全にビビった男の子が立ちすくんでいました。
たぶん、ふざけてベンチの上に乗っていた彼が足を踏み外し、
私の背中へ全身をダイブさせたのだと思われますが、
ゴルゴ13のような顔をしてしまった為に、「大丈夫ですよ」という
男の子に安心を与える機会を失ってしまい、
周りの家族に謝罪をされ、とりあえず「はぁ・・」と言った体で野球観戦に戻りました。
それから後ろの一家は流れる空気に耐え切れず「あっちへ行こう」と、
私から逃げるように観戦スタンドを後にしました。
悪いのは私ではないのですが、私が悪いような雰囲気になってしまいました。
だからと言って、それを気にするほどの繊細さは持ち合わせていませんので、
ほどなく野球に夢中になりましたが、こういった場合があるからこそ、
人との距離は思ってるより多めに取っておいたほうがいいな、と感じる今日この頃。
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合致曲考

投稿日:2013/10/09
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それぞれに何かしらのテーマソングというものがあります。
キューピー3分クッキングの曲は、
あの曲でないとダメだし、あの曲を聞けばキューピーが
思い浮かぶというものです。
笑点にはあの曲しか有り得ませんし、
かつてあのテーマに合わせて
『歌丸、円楽、喜久蔵、幸楽、小遊三、こん平、おはようゲートボールの楽太郎、座布団運びは座布団運びは、山田隆夫、パフッ』との歌詞がありましたが、
亡くなったり改名したりで、今では使用出来ませんが、曲は不変です。
もちろん、TVの番組だけではなく、
お笑い芸人の入場する際の曲と言うのも各芸人によって
曲をチョイスし、固定して流したりしています。
プロレスも然り、スタンハンセンの入場はあの曲以外では盛りあがりません。
亀田の何兄弟目かの人もハウンドドックを歌わなければ、
やはり座は盛り上がりませんし、それが良いか悪いのかは、
別段周りが考えることではありません。
私の中でも、頑張りたい時のテーマソングや、
気分を盛り上げる時のテーマソングなど、
場面毎に何かしらお気に入りの曲があったりします。
それらも他の曲だと、今ひとつ盛り上がりに欠けたり、
何かしっくりこないなどの感情的な要素が加わります。
結婚式では小田和正を流して涙を誘い、
コロッケ売り場ではコロッケの歌で購買意欲を誘い、
高校野球とXの接点は分かりませんが、
やはり紅に染まったこの俺でヒットを誘いたいものです。
先日、所用で京都に行ってきました。
かすかな音楽と人の集まりを目にしたので、
何をやっているのだろうと見てみると中国っぽい服を着た人や、
剣道の道着っぽい服を着た人がわらわらといました。
そして貼ってあるポスターに「太極拳」と書いてありました。
よく分かりませんが、太極拳を披露するような場でした。
男性3人がすばやくステージっぽい所へ行き、
音楽に合わせて太極拳の動きを披露していました。
へーと思い見ていたのですが、何やら違和感を感じてなりません。
違和感の原因を五感で感じました。
そして分かりました。
太極拳をする人たちのバックに流れていたのは、
ロッキーのテーマ曲でした。
「それ、ボクシングやん」
あれ以来、私の中でのイタリアの種馬は、太極拳三人衆にすり替わりました。


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蜂達退治

投稿日:2013/10/07

ふらっと実家へ寄ると、母親が青ざめた顔をして立っていました。
理由を聞くと、「蜂退治をしていた」と言うのです。
どうやら庭の松の木に、まさに今から巣を創る体制で、
無数の蜂が蜂の巣型に絡み合っている現場に遭遇したらしく、
『ギギャーッッ』と悲鳴をあげた所、
たまたま栗拾いの土産の栗を届けに来た隣のおじさんが駆け付けてくれました。
栗を投げ出したおじさんは、蜂の巣型の蜂達に、
厚手の土が入っていたナイロン袋を下から被せて、
紐で口を縛って、そのまま袋に閉じ込めたんだそうです。
蜂に刺されて退散したおじさんは、針を抜きに帰ってしまったそうで、
その後は彼女が、別動隊の残りの蜂にめがけ、
両手で二缶のキンチョールを乱噴射し、
季節外れの蚊取り線香を松の木にくくり付け、
袋の中でヴワンヴワン暴れて、脱出を試みる本隊に三本目のキンチョールを、毒ガス方式で注入し、
あらかた死滅させた時に、私がふらっとやってきたとの事でした。
袋の中には、動かない蜂が三百匹ぐらいいました。
何故か温かく、最期に相当足掻いたのだと感じました。
彼女曰く、「ゴミにだしても『ブンブン』音がすると回収してってくれへんやろで」だそうです。
現場を見に行くと、まだかなりの蜂がブンブンと飛んでいます。
残りの蜂ぐらいは、息子である私がやっつけようと、
ハエ叩きを握って立ち向かいました。
本隊と別動隊と巣の予定地に壊滅的なダメージを受けた生き残り組は、敵意丸出しです。
ハエ叩きでピシッピシッと打ち落とすのですが、
敵もさるもの全方向から攻撃してきます。
戦闘機に取り囲まれたゴジラな感じでしばらく戦っていたら、
顔を中心に狙われだしました。
耳に羽音が響きます。
後頭部に蜂が止まれば、ハエ叩きで後頭部を叩き、
耳に近づけば耳を叩きしていると、
自分の視界がぼやけているのに気付きました。
どうやら眼鏡を飛ばしてしまったらしいのです。
蚊取り線香の煙りの中で蜂と格闘しつつ、朦朧とする目で、黒い眼鏡を捜すのですが、
「見付けた!」と拾い上げても栗ばかりでした。
散らばった栗のせいで、足元もおぼつかなくなってきた時に、
母親が四本目のキンチョールを、私もろとも吹き付けて救出してくれました。
蜂と眼鏡と栗は相性が悪いようで。
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