赤白対決
投稿日:2013/05/15今年も、腋の下から汗が出る季節がやってきました。
一昨年までこの時期は、毎晩風呂に入る度に、
塩分で結晶化した脇毛をほぐす作業に追われていたものです。
しかし昨年、スティックのりを太くした形状の赤い汗止めを購入し、
毎朝その先端から滲み出る液体を塗り付けるライフスタイルへの変換を試みた結果、
腋の下の製塩工場を廃業へと導く運びとなった事は記憶に新しい出来事でしょう。
その後は、いくら私でも冬場にそこまで大量の汗はかきませんので、
ヒーローの汗止めは、テレビ台の中で休眠していた次第です。
ほぼ半年ぶりにヒーローを蘇らせて、腋の下へと突入させようと試みると、
赤い本体は、何故か白く粉を吹いており、中身は空っぽになってしまっていました。
休眠前の連日の酷使による疲労が蓄積して、命尽きたのでしょうか。
なんにせよ必需品ですので、感謝の念を表す為に、
今年も同じ商品を買いに薬局へと赴きました。
制汗コーナーには、様々な新商品が並んでいますが、
元来一途な性格で知られている私は、
浮ついた気持ちにはなりません。
しかし、探せども捜せども、例の赤いヒーローは見つかりませんでした。
残念な気持ちで、適当に白くて小さく丸みをおびた新入りを購入し、帰路に着いたのです。
翌朝、渋々初塗りを行うと、
以前の赤より随分とコンパクトな白は、腋の下にスルッと入り込み易く、
塗り心地の満足感も増していました。
微妙な香りも良く似ており、欠点が見付かりません。
何か落ち度を見つけようとしても、全てのスペックで白の勝ちです。
これでは、若い新しい女の子を次々と取っ替え引っ替えしている馬鹿男と同じになってしまいます。
何とか赤が白を上回っていた点を、早急に指摘しなければなりません。
白のコンパクトさを逆手に『内容量は少ないハズだ』と思い付いた私は、
赤と白の両方を並べて、裏面を比べてとんでもない発見をしたのです。
それは『内容量の違い』みたいなスケールの小さな事ではありませんでした。
何と、赤と白は同じ会社の全く同じ商品だったのです。
つまり、赤の進化系が白と言う事です。
すなわち、見た目の変化に惑わされる事無く、
物事の本質を見極め、購入し、塗り付ける事が出来たのです。
私はそんな自分を褒めてあげたいのです。
それにしても、一連のこの制汗剤と私との、運命の赤い糸による、強固な繋がりには頼もしささえ感じました。
脇毛も喜んでいる事でしょう。
赤い糸が繋がっているのは、彼等なんですから。