寿司屋のカウンター、という響きに憧れを抱きます。
財布と気持ちに余裕がないと、その夢なる扉はなかなか開けることができず、私は均一回転寿司の自動ドアの前に立つことが多いです。
しかし、回転寿司のカウンターもある種のワンダーランドだったりします。
暑かったその日は、さっぱりしたものを欲し回転寿司に赴きました。
年配夫婦とおじやん同士の2組が既にカウンターにいました。
私は二組の間に座り、寿司満喫モードで何を食べようか思案していました。
島ごとに流れる寿司レーンはテーブル席を流れ、折り返してカウンターにやってきます。
いくつか寿司を食べ、ふとテーブル席を流れるレーンを見るとご注文皿に乗った「ハマチ」が4皿(計8カン)流れていきました。
『ハマチ好きな家族連れだなぁ』とボンヤリ思っていたら、みるみるハマチはテーブル席ゾーンを過ぎ、カウンターゾーンへ差し掛かってきました。
そして私の隣のおじやん二人組の席の機械が『ご注文の品がまもなく到着します』と喋りだしました。
ハマチ4皿はおじやん2人で仲良く分けて食べ始めました。
何故4皿なのか、何故2皿ではダメだったのか。
謎を抱きながら鉄火巻きをほおばりました。
するとおじやん2人組の反対側の隣の席におばさんが1人座りました。
回転寿司でもカウンターなら一人で気軽に来れるんだなぁ、なんて思っていたら
またもや驚きの光景を目の当たりにしました。
ご注文皿に乗った「うなとろ(鰻の蒲焼+とろろの軍艦)」が5皿(計10カン)、テーブル席を堂々と流れています。
このおもしろ注文は隣のおじやんに違いない。
でも何故5皿?
そしておじやん付近に差し掛かり、慌てて皿を取るがもう一人のおじやんは協力しません。
ついには私の席まで流れてきたので、手伝ってあげました。
おじやんのテーブル一杯に並んだうなとろ。
もう一人のおじやんに「食べろ」と言ったが「俺、そんなんいらん」と言われていました。
そしてテーブルに並んだうなとろ5皿(計10カン)を肩を落として食べていました。
何故5皿?何故?
もう一人のおじやんは帰りたそうに席まで立ち始めました。
うなとろ10カンと格闘するおじやんは、まるで給食を最後まで食べている小学生のようでした。
するとご注文皿に乗った「フライドポテト」が2皿流れています。
まさか、このおじやんポテトまで注文したんじゃなかろうか。
ハラハラしながらポテトはテーブル席をすいすい流れていきます。
そしてまさかのカウンター席に差し掛かった時、おじやん2人組の反対側に座ったおばさんがササッと2皿取りました。
そしてポテトを両手食いしていました。
やはり、寿司はカウンターに限るなと心から思いました。
会計をチラ見した所、おじやん二人で33皿完食でした。内5皿鰻トロ4皿ハマチです。